「俺はキムタクになれないが キムタクも俺にはなれない」
俳優の木村拓哉さんが6日に織田信長役で登場し、注目を集めた岐阜市の「ぎふ信長まつり」。その隣の岐阜県各務原市の寺院前には、こんな法語が掲示され、SNSで話題になっている。
掲示していたのは、真宗大谷派の「善休寺」。
寺によると、愛知県瀬戸市の寺院「順慶寺」の住職が昨年製作したカレンダーにあった言葉を借り、祭りに合わせ、その1週間ほど前に、掲示板に貼ったという。
法語の意図、そしてつながるSMAPの名曲
さっそく、順慶寺の加藤大樹住職(37)に法語の意図を聞いた。
この言葉は加藤住職が考えたものではなく、10年ほど前に飲食店のトイレで見かけたという。
「一見、ふざけた言葉に見えるが、仏教的な言葉だ」。そう思って、頭に残っていたという。
仏陀(ぶっだ)は生誕時に「天上天下唯我独尊」と言ったとされる。「私より尊い者はいない」という意味でも解釈されるが、加藤住職は「天上天下にただ一人、誰とも代わることのできない人間としてすべての人は尊いという意味」と捉えているという。
「現代は一人の人間を、あたかも代わりが利くかのように扱っているのではないでしょうか。命そのものが尊いということを決して忘れてはいけません」
その上で、「俺はキムタク……」という言葉に向き合うと、「『誰とも代わりの利かない命を生きている。比べる必要はない』『ありのままでいいのだ』と伝えようとしている」。
加藤住職はそう受け止めたという。木村さんが所属したSMAPの大ヒット曲「世界に一つだけの花」の歌詞とも通じるところがあると考えている。
善休寺の掲示板にある「俺はキムタクに……」の横には、こうも書かれている。
「誰とも代わりのきかない 尊いいのちを生きている」(保坂知晃)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル